酢酸の効果・エビデンス
「お酢が身体によい」というのは昔から言われていますね。
機能性表示食品の関与成分でも、「酢酸」として使われています。消費者庁への届出資料から、研究データをまとめました。
機能性関与成分「酢酸」
内臓脂肪に関する機能性表示食品のうち、70件は「酢酸」が使われています(2022/3/20現在)。酢酸とは、食酢の主成分です。
最近届出された届出資料の中から、届出番号G171の届出書類を参照し、この成分が何者なのか、どのような機能があるのかを読み解いてみます。
典型的な届出表示
「酢酸」の届出表示は、概ね以下のような表示です。
酢酸には、肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能が報告されています。本品は、健常人で内臓脂肪が気になる方に適した食品です。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 内臓脂肪
内臓脂肪に関する効果・エビデンス
成人を対象にした酢酸摂取の臨床試験エビデンスとして、この届出書類では1つの研究論文を見出しています。摂取量違いで2つの結果が示されています。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | 酢酸摂取量 |
1 | -8.1 cm2 | 12週間後 | p<0.05 | 750mg |
1 | -9.4 cm2 | 12週間後 | p<0.01 | 1500mg |
メカニズム
届出番号G171の届出書類様式Vのp.6には、この成分のメカニズムについては、以下の説明があります。
肥満モデルラットを用いて酢酸による肥満の改善機序が報告されている。酢酸は肝臓の脂肪酸合成酵素(FAS)、アセチル CoA カルボキシラーゼ(ACC)などの脂肪合成酵素遺伝子の発現を低下させることにより肝臓での脂肪合成を抑制することが示されている。さらに、重要な機序として酢酸は肝臓での ATP からの AMP 生成を促進することにより、AMP キナーゼの活性化を促進する。AMP キナーゼは脂肪酸の合成や酸化、糖代謝調節の中心的酵素の一つであり、AMP キナーゼが活性化されるとアセチル CoA カルボキシラーゼが不活化されマロニル CoA濃度低下、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの活性化等を介して、脂肪酸分解の促進と脂肪酸合成の抑制につながる可能性がある。従って、酢酸摂取は脂肪合成を抑制するのみならず、AMP キナーゼ活性化を介して脂肪酸酸化を促進する可能性がある。
(出典論文)
1. Kondo T, Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Aug;73(8):1837-1843.
ーーーー
本記事を執筆するにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。