機能性表示食品 エビデンス研究室

機能性表示食品(サプリメント・健康食品)にはどんな効果が期待できるのか? 消費者庁Webサイトで公開されている届出資料に基づき、エビデンスを中心に整理・紹介します。

「内臓脂肪」に関する機能性表示食品

2022/5/1更新

 

メタボに効果がある健康食品って?

おなかポッコリの「中年太り」

「中年太り」という言葉があります。おなかが特にポッコリと出て、典型的な「おじさん」の太り方ですね。私はここ数年で、スーツのベルト穴が明らかに合わなくなってきていて、やばいと思い始めています。。

身体につく脂肪(体脂肪)は、皮下脂肪と内臓脂肪に大別され、内臓脂肪は特に加齢でつきやすくなる性質があるため、徐々におなかが出てくるようになるのです。また、内臓脂肪は、生活習慣病のリスクを高めることが知られています。内臓脂肪がつき、さらに高血圧・高血糖・脂質代謝異常などが起こっている状態は、「メタボリックシンドローム」と呼ばれます。

私はそこまでは至っていませんが、健康診断や人間ドックのときに医師から注意を受けたという知人はいます。「中年太り」は見た目がよくない、というだけではないのですね。

 

参考:メタボリックシンドローム厚生労働省e-ヘルスネット)

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html

 

「内臓脂肪」対策の機能性表示食品

メタボ対策は、まずは、食事に気を付けたり、運動をしたり、といった当たり前のことが基本です。

その中で、サプリメントや、健康食品・飲料を使うのも一つの方法です。ですが、ダイエットの記事でも書いたように、巷では色々な商品が宣伝されていて、効果があるのか、どれを選んだらよいのか、わからない。そこで、今回は、「内臓脂肪」に関する機能性表示食品のエビデンスを確認します。

当サイトで、なぜ「機能性表示食品」に注目しているのか、どのようにエビデンスを調べているのか、などは、ダイエットの記事をご覧ください。

 

shige-o.hatenablog.com

 

 

「内臓脂肪」に関する機能性関与成分

「内臓脂肪」のキーワード検索から、体重に関連する機能性表示食品は、400件以上存在します(2022/3/20現在:470件)。その中には、同じ機能性関与成分を配合している商品も多くみられます。

 

ここでは、成分ごとに、最近の届出書類を読み解いて、「内臓脂肪」に関する試験結果のデータを抜粋・集約してまとめました。

機能性関与成分を一定期間摂取した群(介入群)と、摂取しなかった群(対照群)との平均差を、「内臓脂肪面積の平均差」に記しています。記載した数値の効果を必ず得られるわけではありませんが、「内臓脂肪面積の平均差」は、その成分の「効果」の目安にはできるでしょう。

 

 

機能性関与成分

商品数

※1

論文数

※2

内臓脂肪面積の平均差

(介入群vs. 対照群)

※3

摂取期間

※3

葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類) (117) 6

-7.8 cm2 (統合値)

メタアナリシス
エラグ酸 (62) 1 -19.27 cm2 12週間後
カテキン(ガレート型カテキン) (19) 7 -6.4~-9.3 cm2 8~12週間後
エノキタケ由来脂肪酸 (9) 1 -4.7 cm2 12週間後
りんご由来プロシアニジン (6) 2 -9.5~-10.0 cm2 12週間後
コーヒー生豆由来クロロゲン酸 (2) 2 -7.5~-8.0 cm2

8~12週間後

プーアール茶由来没食子酸 (2) 1 -13.9 cm2 12週間後
ターミナリアベリリカ由来没食子酸 (1) 1 -5 cm2 12週間後
ガセリ菌SP株 17   -6.7~-9.2 cm2 12週間後
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン 64   -5.05 cm2 12週間後
酢酸 69   -8.1~-9.4 cm2 12週間後
難消化性デキストリン 2   -5.65~-17 cm2 12週間後
フコキサンチン 1 1

-18.6%

※例えば内臓脂肪面積100cm2の場合、-18.6cm2に相当。

4週間後

※1 2022/3/13現在。カッコつきで記載している成分は、「体重」で検索した場合の商品数を記載。

※2 直近の商品の届出書類に掲載されているシステマティックレビューで肯定的評価をされている論文数

※3 複数の論文がある場合は、最低値~最大値の幅で掲載

 

 

「内臓脂肪面積」とは

内臓脂肪が蓄積しているかどうかは、CTスキャンでおへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積を計測して算出し、これが100cm2を超えていると、内臓脂肪が蓄積しているとみなします。

なお、実際の健診では、簡便な方法として、ウェスト周囲径を計測します。男性は85cm以上、女性は90cm以上が基準として採用されています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-051.html
https://www.kao.co.jp/healthya/knowledge/fat/faq/

 

 

エビデンス集約の考え方と留意点

各成分の詳しい内容は、それぞれのリンク先で紹介していますが、以下のような考え方でデータを拾っています。

  • ある論文の中で複数の摂取期間で指標を計測している場合、有意差がついた測定期間の中で最も短い期間での「平均差」と期間を採用。
  • さらに、複数の論文がある場合は、肯定的評価がなされている論文に絞り、「平均差」「摂取期間」は最低値と最高値で幅を持って記載。

研究それぞれで、対象者、試験条件、解析手法などが異なっていますので、成分同士を一概には比較できないことには注意が必要です。

成分によって、内臓脂肪を減らすメカニズムが違いますので、人によって適した成分が異なることも十分考えられます。メカニズムは今回は調べ切れていません。今後確認していきたいところです。

 

上記のような留意点もありますが、「機能性表示食品」を選ぶ参考になればと思います。

 

ーーーー

本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。

情報の調べ方は以下の記事を参照ください。

shige-o.hatenablog.com