機能性表示食品 エビデンス研究室

機能性表示食品(サプリメント・健康食品)にはどんな効果が期待できるのか? 消費者庁Webサイトで公開されている届出資料に基づき、エビデンスを中心に整理・紹介します。

葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)のエビデンス

 

 

成分「葛の花由来イソフラボン

「体重」に関連する機能性表示食品の中で、「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」は、半分以上の商品に使われています(2022/3/12現在:117件)。

 

 

「葛の花由来イソフラボン」とは

117件の届出のうち代表的な届出として、届出番号G592の届出書類を参照し、この成分が何者なのか、どのような機能があるのかを読み解いてみます。

葛の花は、文字通り「葛(マメ科クズ属Pueraria thomsonii)」という植物の「花」です。
漢方薬として用いられてきたほか、香港などでは「葛の花」を使ったお茶があり、以前から飲まれてきたようです。


「葛の花」を乾燥させてから、お湯で抽出すると、いくつかの成分が得られます。
そのうち、「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」という成分に、いくつかの機能性が知られています。
機能性を持つ成分なので、「機能性関与成分:葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)」という言い方で表示しているわけです。


「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」の機能

「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」については、これまでに、大学や研究機関、企業で、様々な研究がなされています。
研究結果は、論文として出版され、世界中の人が読めるように公表されています。
論文の概要や中身は、ネット上で検索して確認できるようにもなっています。

とはいえ、専門的な論文なので、一般の人が検索して中身を確認するのは、なかなか大変です。

機能性表示食品のよいところは、届出を行う企業が、届出書類の中に、検索した結果と、結果の概要をまとめてくれているところです。
届出書類でいうと、「様式V」のなかに記されています。
これを読むことで、「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」の機能が具体的にわかります。

 

「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」のエビデンス

特に、成人を対象にしてこの成分を摂取させた臨床試験に関する論文を網羅的に検索して、この届出書類では、6つの研究論文を見出しています。
これら6つは、試験期間や、試験で摂取させた成分の量など、試験の枠組みは同じではありません。
試験期間は、4週間のものから12週間のものまで幅があります。また、葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類として)の一日摂取量も、22.0~42.0 mgのように幅があります。

これらの試験を、メタアナリシスという統計的な手法で解析すると、

  • 腹部総脂肪面積
  • 腹部内臓脂肪面積
  • 腹部皮下脂肪面積
  • 体重
  • 胴囲


について、減少を示唆する、と結論づけています。

「示唆する」という、若干まどろっこしい言い方になっているのは、こういった科学系の文章の常です。
科学に「絶対」はなく、今回の結果では全員が「減少」したわけでもないため、断定した表現にせず、「示唆する」という表現になっています。

 

気になる「体重への影響」はどのくらいか


「葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)」摂取による体重への影響についてもまとめられています。
もちろん人によって違うので、それを統計的な処理によって、数値化しています。
この成分を摂取している人たちと、摂取していない人たちとで、差があるかどうかを統計的に評価します。

  • 体重の統合値:-1.3 kg [95%信頼区間;-2.1 ~ -0.4, p< 0.0001]


平均的に、この成分の摂取によって、体重には、-1.3kgの効果があることが示されています。
ここで、「95%信頼区間」というのは、95%の確率で、-2.1~-0.4kgの効果を得られるという意味です。
ざっくりいうと、95%=100人中95人=20人中19人が得られるであろう体重への効果です。
また、統計的に有意差があるかどうかを示す「p値」が0.0001未満であり、十分に有意差があるといえる結果です。

 

 

体重以外の数値への影響

下記のようになっています。
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類)を摂取することで、このような機能が期待されるということです。

  • 腹部総脂肪面積の統合値:-13.6cm2 [95%信頼区間;-20.9 ~ -6.4, p = 0.0002]
  • 腹部内臓脂肪面積の統合値:-7.8 cm2[95%信頼区間;-10.9 ~ -4.6, p < 0.0001]
  • 腹部皮下脂肪面積の統合値:-8.0 cm2 [95%信頼区間;-12.7 ~ -3.3, p = 0.0009]
  • 体重の統合値:-1.3 kg [95%信頼区間;-2.1 ~ -0.4, p< 0.0001]
  • 胴囲の統合値:-1.1 cm [95%信頼区間;-2.0 ~ -0.1, p < 0.0001])

 

 

 

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本記事を執筆するにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。

情報の調べ方は以下の記事を参照ください。

shige-o.hatenablog.com