機能性表示食品 エビデンス研究室

機能性表示食品(サプリメント・健康食品)にはどんな効果が期待できるのか? 消費者庁Webサイトで公開されている届出資料に基づき、エビデンスを中心に整理・紹介します。

グリシンの効果・エビデンス

三大栄養素の一つのタンパク質は、アミノ酸から構成されています。最も小さなアミノ酸グリシンには、睡眠改善効果があります。機能性関与成分としての「グリシン」の科学的根拠をまとめました。

 

 

機能性関与成分「グリシン

届出番号A42の機能性表示食品には、「グリシン」が機能性関与成分として使われています。

 

届出表示

本品には“グリシン”が含まれており、すみやかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)や、起床時の爽快感のあるよい目覚め、日中の眠気の改善、疲労感の軽減、作業効率の向上に役立つ機能があります。

 

つまり、下記のような指標を対象としています。

  • 睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)
  • 起床時の爽快感のあるよい目覚め
  • 日中の眠気の改善
  • 疲労感の軽減
  • 作業効率の向上

効果・エビデンス

この届出書類では2つの研究論文を根拠としています。

 

文献 摂取期間 評価項目 結果
1 2日間

脳波測定

入眠後速やかに深睡眠(徐波睡眠)に達し、自然な睡眠パターンへの改善
起床後の睡眠感(質問票) 熟眠感や爽快感に関する項目である「昨晩の睡眠の満足度」や「眠りのつきやすさ」、「眠りにつくまでの時間」、「床についている間の眠っている時間の割合」が改善
日中の眠気(VAS) 改善
短期記憶能力(パソコン評価) 改善
2

3日間(睡眠制限)

 眠気と疲労感(VAS)

1日目の「疲労感」が改善

仕事の効率[注意力を表す反応時間](パソコン評価)

1日目と3日目の「反応時間」が改善

 

 

グリシン」のメカニズム

カニズムについては、届出書類様式VIIに以下の説明があります。

経口摂取したグリシンは血液を介して脳内に移行する。脳内に移行したグリシンは 1 日の睡眠・覚醒リズムを司る視交叉上核の NMDA 受容体のグリシン結合部位に作用する。グリシンによる NMDA 受容体への作用は、NMDA受容体の活性を強めるように調節する作用である。これにより体温調節の中枢部位の活性化を促し、深部体温の低下を介して深睡眠(徐波睡眠)を誘導し、睡眠の質が改善される。その結果、グリシン摂取の翌日は日中の眠気、疲労感が軽減され、作業効率が改善される。また,本作用はメラトニンを介さない作用である

 

 

(出典論文)

1. Yamadera et al. Glycine ingestion improves subjective sleep quality in human
volunteers, correlating with polysomnographic changes. Sleep and Biological
Rhythms 5: 126–131 (2007)

2. Bannai et al. The effects of glycine on subjective daytime performance in partially
sleep-restricted healthy volunteers. Frontiers in Neurology 3(61): 1-8(2012)

 

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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。

情報の調べ方は以下の記事を参照ください。

shige-o.hatenablog.com