ガセリ菌CP2305株の睡眠のエビデンス
乳酸菌の一種であるガセリ菌CP2305株には、睡眠改善効果もあります。
機能性関与成分としての「ガセリ菌CP2305株」の科学的根拠をまとめました。
機能性関与成分「ガセリ菌CP2305株」
機能性関与成分「ガセリ菌CP2305株」を使った「睡眠」関連の機能性表示食品は、5件あります(2022/3/27現在)。
届出番号G368の機能性表示食品の届出書類から、「ガセリ菌CP2305株」の効果・エビデンスを読み解きます。
届出表示
ガセリ菌CP2305株の睡眠に関する機能性表示は、以下のようなものです。
「ガセリ菌CP2305株」(L. gasseri CP2305)には心理的なストレスを和らげ、睡眠の質(眠りの深さ)を高めるのに役立つ機能があることが報告されています。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 眠りの質(眠りの深さ)
効果・エビデンス
この届出書類では、GABAに関し、3つの研究論文に基づきレビューを行っています。1報の論文に基づき、睡眠の質(ピッツバーグ睡眠質問票PSQI)の改善が有効と結論付けています。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | 摂取量 |
1 | -1.70 | 4週間後 | p=0.046 | 10^10 CFU |
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc06/youshiki5?yousiki5216File=G368%255CG368_youshiki5.pdf
「ガセリ菌CP2305株」のメカニズム
メカニズムについては、届出書類様式VIIに、消化管粘膜上皮との相互作用により、迷走神経を介して、HPA軸に作用・調整することで心理的ストレス応答を制御し、睡眠の質を改善している旨の説明があります。
https://www.fld.caa.go.jp/caaks/cssc08/sayoukijyo?sayoukijyoFile=G368%255CG368_sayoukijyo.pdf
(出典論文)
1. D. Sawada, et. al., J Funct. Foods, 31, 188-197, 2017.
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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
GABAの睡眠に関する効果・エビデンス
ストレス対策で知られるGABAには、睡眠改善効果もあります。
GABAは、「γ-アミノ酪酸(GammaAminoButyricAcid)」の略称で、植物や動物(ヒトも含む)の体内に広く存在するアミノ酸の一種です。
機能性関与成分としての「GABA」の科学的根拠をまとめました。
機能性関与成分「GABA」
機能性関与成分「GABA」を使った「睡眠」関連の機能性表示食品は、126件あります(2022/3/27現在)。
届出番号G322の機能性表示食品の届出書類から、「GABA」の効果・エビデンスを読み解きます。
届出表示
GABAの睡眠に関する機能性表示は、以下のようなものです。
睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)の向上に役立つ機能。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 眠りの質
- すっきりとした目覚め
効果・エビデンス
この届出書類では、GABAに関し、4つの研究論文に基づきレビューを行っています。下表のようにまとめられ、2報の論文に基づき、以下の3つの指標について改善が有効と結論付けています。
- 入眠潜時
- ノンレム睡眠時間
- 主観的評価(起床時の気分)
アウトカム |
文献 |
結論 |
入眠潜時、 深睡眠潜時、 ノンレム睡眠時間、 レム睡眠時間、 中途覚醒頻度、 デルタ波量、 主観的評価(寝つきの容易さ、起床時の気分、睡眠の満足度) |
2報(Yamatsu 2015、Yamatsu 2016) |
入眠潜時、ノンレム睡眠時間、主観的評価(起床時の気分)の改善が有効 |
睡眠効率 | 1報(Yamatsu 2016) | 介入が有効である旨の根拠にはならない |
ピッツバーグ睡眠質問票、 PSQI-j 合計スコア |
3報(Yamatsu 2015、Yamatsu 2016、外薗2016a) | 介入が有効である旨の根拠にはならない |
主観的評価 PSQI-j (睡眠の質、入眠時間、睡眠時間、睡眠効率、睡眠困難、日中覚醒困難) | 1報(外薗2016a) | 介入が有効である旨の根拠にはならない |
アテネ式不眠尺度スコア | 2報(外薗2016a、外薗2016b) | 介入が有効である旨の根拠にはならない |
入眠潜時
入眠潜時は、脳波測定による「入眠潜時平均差(min)」を指標にしており、2つの研究論文のうち、有意差がついているのは1報です。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | GABA摂取量 |
2 | -7.3 min | 1週間後 | p=0.02 | 100mg |
ノンレム睡眠時間
ノンレム睡眠時間(深い睡眠時間)は、脳波測定による「ノンレム睡眠時間平均差(%)」を指標にしており、2つの研究論文のうち、有意差がついているのは1報です。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | GABA摂取量 |
2 | 5.5% | 1週間後 | p=0.04 | 100mg |
起床時の気分
起床時の気分は、VAS(ビジュアルアナログスケール)による「主観的評価(VAS)平均差」を指標にしており、2つの研究論文のうち、有意差がついているのは1報です。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | GABA摂取量 |
2 | 22.8 | 1週間後 | p=0.025 | 100mg |
「GABA」のメカニズム
メカニズムについては、届出書類様式VIIに以下の説明があります。
GABA が末梢神経節において GABA(B)受容体に作用し交感神経系を抑制する自律神経系への作用によるものであると考えられる。睡眠時においては興奮を司る交感神経は抑制状態、リラックスを司る副交感神経は亢進状態にあることが望ましいとされるが、特に眠りの深さは自律神経活動と密接な関係があり、浅い眠り(レム睡眠)のときほど交感神経が優位であり、逆に深い眠り(ノンレム睡眠)のときには副交感神経が優位な状態とされる。従って、GABA の摂取により自律神経バランスが交感神経抑制・副交感神経亢進状態になることで、より深い眠りが得られやすい状態になり眠りの深さが改善されるものであると考えられる。また、その結果としてより良い睡眠が得られることで起床時の眠気が改善され、目覚めのすっきり感が得られるものであると考えられる。
(出典論文)
1. Yamatsu et al. Journal of nutritional science and vitaminology. 61, 182-187 (2015)
2. Yamatsu et al. Food science and biotechnology, 25, 547-551 (2016)
3. 外薗ら, 薬理と治療 44, 1445-1454 (2016)
4. 外薗ら, 日本食品科学工学会誌, 63, 306-311 (2016)
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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
グリシンの効果・エビデンス
三大栄養素の一つのタンパク質は、アミノ酸から構成されています。最も小さなアミノ酸のグリシンには、睡眠改善効果があります。機能性関与成分としての「グリシン」の科学的根拠をまとめました。
機能性関与成分「グリシン」
届出番号A42の機能性表示食品には、「グリシン」が機能性関与成分として使われています。
届出表示
本品には“グリシン”が含まれており、すみやかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)や、起床時の爽快感のあるよい目覚め、日中の眠気の改善、疲労感の軽減、作業効率の向上に役立つ機能があります。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 睡眠の質の向上(熟眠感の改善、睡眠リズムの改善)
- 起床時の爽快感のあるよい目覚め
- 日中の眠気の改善
- 疲労感の軽減
- 作業効率の向上
効果・エビデンス
この届出書類では2つの研究論文を根拠としています。
文献 | 摂取期間 | 評価項目 | 結果 |
1 | 2日間 |
脳波測定 |
入眠後速やかに深睡眠(徐波睡眠)に達し、自然な睡眠パターンへの改善 |
起床後の睡眠感(質問票) | 熟眠感や爽快感に関する項目である「昨晩の睡眠の満足度」や「眠りのつきやすさ」、「眠りにつくまでの時間」、「床についている間の眠っている時間の割合」が改善 | ||
日中の眠気(VAS) | 改善 | ||
短期記憶能力(パソコン評価) | 改善 | ||
2 |
3日間(睡眠制限) |
眠気と疲労感(VAS) |
1日目の「疲労感」が改善 |
仕事の効率[注意力を表す反応時間](パソコン評価) |
1日目と3日目の「反応時間」が改善 |
「グリシン」のメカニズム
メカニズムについては、届出書類様式VIIに以下の説明があります。
経口摂取したグリシンは血液を介して脳内に移行する。脳内に移行したグリシンは 1 日の睡眠・覚醒リズムを司る視交叉上核の NMDA 受容体のグリシン結合部位に作用する。グリシンによる NMDA 受容体への作用は、NMDA受容体の活性を強めるように調節する作用である。これにより体温調節の中枢部位の活性化を促し、深部体温の低下を介して深睡眠(徐波睡眠)を誘導し、睡眠の質が改善される。その結果、グリシン摂取の翌日は日中の眠気、疲労感が軽減され、作業効率が改善される。また,本作用はメラトニンを介さない作用である
(出典論文)
1. Yamadera et al. Glycine ingestion improves subjective sleep quality in human
volunteers, correlating with polysomnographic changes. Sleep and Biological
Rhythms 5: 126–131 (2007)
2. Bannai et al. The effects of glycine on subjective daytime performance in partially
sleep-restricted healthy volunteers. Frontiers in Neurology 3(61): 1-8(2012)
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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
「内臓脂肪」に関する機能性表示食品
2022/5/1更新
メタボに効果がある健康食品って?
おなかポッコリの「中年太り」
「中年太り」という言葉があります。おなかが特にポッコリと出て、典型的な「おじさん」の太り方ですね。私はここ数年で、スーツのベルト穴が明らかに合わなくなってきていて、やばいと思い始めています。。
身体につく脂肪(体脂肪)は、皮下脂肪と内臓脂肪に大別され、内臓脂肪は特に加齢でつきやすくなる性質があるため、徐々におなかが出てくるようになるのです。また、内臓脂肪は、生活習慣病のリスクを高めることが知られています。内臓脂肪がつき、さらに高血圧・高血糖・脂質代謝異常などが起こっている状態は、「メタボリックシンドローム」と呼ばれます。
私はそこまでは至っていませんが、健康診断や人間ドックのときに医師から注意を受けたという知人はいます。「中年太り」は見た目がよくない、というだけではないのですね。
参考:メタボリックシンドローム(厚生労働省e-ヘルスネット)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html
「内臓脂肪」対策の機能性表示食品
メタボ対策は、まずは、食事に気を付けたり、運動をしたり、といった当たり前のことが基本です。
その中で、サプリメントや、健康食品・飲料を使うのも一つの方法です。ですが、ダイエットの記事でも書いたように、巷では色々な商品が宣伝されていて、効果があるのか、どれを選んだらよいのか、わからない。そこで、今回は、「内臓脂肪」に関する機能性表示食品のエビデンスを確認します。
当サイトで、なぜ「機能性表示食品」に注目しているのか、どのようにエビデンスを調べているのか、などは、ダイエットの記事をご覧ください。
「内臓脂肪」に関する機能性関与成分
「内臓脂肪」のキーワード検索から、体重に関連する機能性表示食品は、400件以上存在します(2022/3/20現在:470件)。その中には、同じ機能性関与成分を配合している商品も多くみられます。
ここでは、成分ごとに、最近の届出書類を読み解いて、「内臓脂肪」に関する試験結果のデータを抜粋・集約してまとめました。
機能性関与成分を一定期間摂取した群(介入群)と、摂取しなかった群(対照群)との平均差を、「内臓脂肪面積の平均差」に記しています。記載した数値の効果を必ず得られるわけではありませんが、「内臓脂肪面積の平均差」は、その成分の「効果」の目安にはできるでしょう。
機能性関与成分 |
商品数 ※1 |
論文数 ※2 |
内臓脂肪面積の平均差 (介入群vs. 対照群) ※3 |
摂取期間 ※3 |
葛の花由来イソフラボン(テクトリゲニン類) | (117) | 6 |
-7.8 cm2 (統合値) |
メタアナリシス |
エラグ酸 | (62) | 1 | -19.27 cm2 | 12週間後 |
カテキン(ガレート型カテキン) | (19) | 7 | -6.4~-9.3 cm2 | 8~12週間後 |
エノキタケ由来脂肪酸 | (9) | 1 | -4.7 cm2 | 12週間後 |
りんご由来プロシアニジン | (6) | 2 | -9.5~-10.0 cm2 | 12週間後 |
コーヒー生豆由来クロロゲン酸 | (2) | 2 | -7.5~-8.0 cm2 |
8~12週間後 |
プーアール茶由来没食子酸 | (2) | 1 | -13.9 cm2 | 12週間後 |
ターミナリアベリリカ由来没食子酸 | (1) | 1 | -5 cm2 | 12週間後 |
ガセリ菌SP株 | 17 | -6.7~-9.2 cm2 | 12週間後 | |
ブラックジンジャー由来ポリメトキシフラボン | 64 | -5.05 cm2 | 12週間後 | |
酢酸 | 69 | -8.1~-9.4 cm2 | 12週間後 | |
難消化性デキストリン | 2 | -5.65~-17 cm2 | 12週間後 | |
フコキサンチン | 1 | 1 |
-18.6% ※例えば内臓脂肪面積100cm2の場合、-18.6cm2に相当。 |
4週間後 |
※1 2022/3/13現在。カッコつきで記載している成分は、「体重」で検索した場合の商品数を記載。
※2 直近の商品の届出書類に掲載されているシステマティックレビューで肯定的評価をされている論文数
※3 複数の論文がある場合は、最低値~最大値の幅で掲載
「内臓脂肪面積」とは
内臓脂肪が蓄積しているかどうかは、CTスキャンでおへその位置で体を輪切りにしたときの内臓脂肪面積を計測して算出し、これが100cm2を超えていると、内臓脂肪が蓄積しているとみなします。
なお、実際の健診では、簡便な方法として、ウェスト周囲径を計測します。男性は85cm以上、女性は90cm以上が基準として採用されています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-051.html
https://www.kao.co.jp/healthya/knowledge/fat/faq/
エビデンス集約の考え方と留意点
各成分の詳しい内容は、それぞれのリンク先で紹介していますが、以下のような考え方でデータを拾っています。
- ある論文の中で複数の摂取期間で指標を計測している場合、有意差がついた測定期間の中で最も短い期間での「平均差」と期間を採用。
- さらに、複数の論文がある場合は、肯定的評価がなされている論文に絞り、「平均差」「摂取期間」は最低値と最高値で幅を持って記載。
研究それぞれで、対象者、試験条件、解析手法などが異なっていますので、成分同士を一概には比較できないことには注意が必要です。
成分によって、内臓脂肪を減らすメカニズムが違いますので、人によって適した成分が異なることも十分考えられます。メカニズムは今回は調べ切れていません。今後確認していきたいところです。
上記のような留意点もありますが、「機能性表示食品」を選ぶ参考になればと思います。
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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
難消化性デキストリンの「内臓脂肪」に対する効果・エビデンス
難消化性デキストリンは、食物繊維の一種です。食後血糖値や食後中性脂肪の上昇抑制作用、整腸作用などがありますが、最近、「内臓脂肪」に関する機能性表示が出てきました。
典型的な届出表示
機能性関与成分「難消化性デキストリン(食物繊維)」の、「内臓脂肪」に関する届出表示を示します。2022/3/21現在で、届出番号G1008が該当します。
難消化性デキストリン(食物繊維)には、継続して摂取することで内臓脂肪を減らす機能があることが報告されています。BMIが高めで内臓脂肪が気になる方に適しています。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 内臓脂肪
内臓脂肪に関する効果
成人を対象にした臨床試験エビデンスとして、この届出書類では2つの研究論文を見出しています。結果は下表のようにまとめられます。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | 摂取量 |
1 | -17 cm2 | 12週間後 | p<0.01 | 9g |
2 | -5.65 cm2 | 12週間後 | p<0.055 | 5g |
(出典論文)
1. 山本ら, 肥満研究, 13(1),34-41 (2007)
2. Kitagawa, et. al, J Nutr Sci Vitaminol, 66, 417-426 (2020)
「難消化性デキストリン(食物繊維)」とは
届出番号G452の届出書類(様式IおよびV)には、この成分について、以下の説明があります。
難消化性デキストリンは、特定保健用食品の関与成分として使用されており、2020年12月時点で388品目が許可取得し、特定保健用食品全体の約36%に相当。
水溶性食物繊維の一種である難消化性デキストリンとは、トウモロコシでん粉に微量
の塩酸を加えて加熱し、α-アミラーゼおよびグルコアミラーゼで処理して得られた食物繊維画分を分取した水溶性の食物繊維
「難消化性デキストリン」を成分とした健康食品の例:
※「内臓脂肪」に関する機能性表示食品ではありません。
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本記事を作るにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
ガセリ菌SP株の効果・エビデンス
腸内環境(腸内フローラ)を改善することで、ダイエットにつながる、といったことが最近よく言われています。
乳酸菌の一種である「ガセリ菌SP株」を使った、「内臓脂肪」対策の機能性表示食品についてエビデンスをまとめました。
機能性関与成分「ガセリ菌SP株」
体重に関する機能性表示食品のうち、16件は「ガセリ菌SP株」が使われています(2022/3/20現在)
届出番号G305の届出書類を参照し、この成分が何者なのか、どのような機能があるのかを読み解いてみます。
典型的な届出表示
「ガセリ菌SP株」の届出表示は、概ね以下のような表示です。
ガセリ菌SP株には、食事とともに摂取することで、肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能があることが報告されています。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 内臓脂肪
内臓脂肪に関する効果・エビデンス
成人を対象にした「ガセリ菌SP株」摂取の臨床試験エビデンスとして、この届出書類では2つの研究論文を見出しています。下表のようにまとめられます。文献1については、摂取量違いで2つの結果は示されています。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 |
ガセリ菌SP株摂取量 |
1 | -8.2 cm2 | 12週間後 | p<0.05 | 10^9個 |
1 | -9.2 cm2 | 12週間後 | p<0.05 | 10^10個 |
2 | -6.7 cm2 | 12週間後 | p<0.05 | 10^9個 |
(出典論文)
1. Kadooka Y, Br J Nutr. 2013 Nov 14;110 (9):169 6-703.
2. 高野ら、薬理と治療. 2013;4 1(9);89 5-903.
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本記事を執筆するにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。
酢酸の効果・エビデンス
「お酢が身体によい」というのは昔から言われていますね。
機能性表示食品の関与成分でも、「酢酸」として使われています。消費者庁への届出資料から、研究データをまとめました。
機能性関与成分「酢酸」
内臓脂肪に関する機能性表示食品のうち、70件は「酢酸」が使われています(2022/3/20現在)。酢酸とは、食酢の主成分です。
最近届出された届出資料の中から、届出番号G171の届出書類を参照し、この成分が何者なのか、どのような機能があるのかを読み解いてみます。
典型的な届出表示
「酢酸」の届出表示は、概ね以下のような表示です。
酢酸には、肥満気味の方の内臓脂肪を減らす機能が報告されています。本品は、健常人で内臓脂肪が気になる方に適した食品です。
つまり、下記のような指標を対象としています。
- 内臓脂肪
内臓脂肪に関する効果・エビデンス
成人を対象にした酢酸摂取の臨床試験エビデンスとして、この届出書類では1つの研究論文を見出しています。摂取量違いで2つの結果が示されています。
文献 |
平均差(介入群vs. 対照群) | 摂取期間 | p値 | 酢酸摂取量 |
1 | -8.1 cm2 | 12週間後 | p<0.05 | 750mg |
1 | -9.4 cm2 | 12週間後 | p<0.01 | 1500mg |
メカニズム
届出番号G171の届出書類様式Vのp.6には、この成分のメカニズムについては、以下の説明があります。
肥満モデルラットを用いて酢酸による肥満の改善機序が報告されている。酢酸は肝臓の脂肪酸合成酵素(FAS)、アセチル CoA カルボキシラーゼ(ACC)などの脂肪合成酵素遺伝子の発現を低下させることにより肝臓での脂肪合成を抑制することが示されている。さらに、重要な機序として酢酸は肝臓での ATP からの AMP 生成を促進することにより、AMP キナーゼの活性化を促進する。AMP キナーゼは脂肪酸の合成や酸化、糖代謝調節の中心的酵素の一つであり、AMP キナーゼが活性化されるとアセチル CoA カルボキシラーゼが不活化されマロニル CoA濃度低下、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼの活性化等を介して、脂肪酸分解の促進と脂肪酸合成の抑制につながる可能性がある。従って、酢酸摂取は脂肪合成を抑制するのみならず、AMP キナーゼ活性化を介して脂肪酸酸化を促進する可能性がある。
(出典論文)
1. Kondo T, Biosci Biotechnol Biochem. 2009 Aug;73(8):1837-1843.
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本記事を執筆するにあたって、「機能性表示食品」の届出書類を参考にしています。
情報の調べ方は以下の記事を参照ください。